田村友一郎 | 2017/05/24(水) 22:38
少し足を伸ばして渡良瀬遊水地というところに連れて行ってもらう。広大なそれは、かの田中正造で有名な足尾銅山から流出した鉱毒をこの地に留め置き、沈殿させ、無毒化することを目的として作られたものだという。ただ、それに伴って、ここにあったひとつの村が完全に消えた。その村の役場があった場所に立つ碑のそばの立て看板には遺跡という文字が使われていた。見渡す限り葦が生え、かつてここに村があったことすら窺い知れない景色を前にしては、確かに遺跡という響きは妙にはまっていた。たかだか100年前の出来事ではあるのだけれど。